補助金の活用ガイド:事業者が知るべきメリットと注意点
■本コラムのポイント
- 補助金は事業者の投資リスクを下げる「資金調達」の一つ。有効に使いましょう。
- 補助金をもらえるから何かをやるではなく、やりたいことを決めてから補助金を探しましょう。
- 補助金はスピードが必要な事業には向いていない点に注意しましょう。
目次
補助金とは
補助金とは、国、県、公的機関が、特定の目的や活動を支援するために事業者や団体などに提供する金銭的な支援です。給付金などと異なり、補助金は誰でも受給できるものではなく、審査による評価が高い企業のみが補助金を受給できます。補助額や補助率は補助金の種類により様々であり、中には補助額上限が50億円になる補助金も存在します。
●補助金の例
補助金名称 | 補助率 | 補助額(上限) |
小規模事業者持続化補助金 | 2/3, 3/4 | 250万円 |
IT導入補助金 | 1/2, 2/3, 3/4, 4/5 | 450万円 |
事業承継引継ぎ補助金 | 1/2, 2/3 | 950万円 |
省力化・省人化補助金 | 1/2 | 1,500万円 |
ものづくり補助金 | 1/2, 2/3 | 1億円 |
事業再構築補助金 | 1/2, 2/3, 3/4 | 1.5億円 |
大規模成長投資補助金 | 1/3 | 50億円 |
補助金を交付された企業は一定期間の報告が必要となりますが、基本的には補助された金額を返済する必要はありません。(ただし、自己負担分を超える利益が生じた場合は収益納付が必要となる場合があります。)
なお、補助金とは別に「助成金」がありますが、助成金は厚生労働省管轄で労働環境改善を目的とするものが主であり、要件を満たせばほぼ受給できるものとなります。
国が補助金施策を実施する目的
国、県、公的機関は経済の活性化、産業の育成、地域社会の発展を目指しています。このため、国や県の政策・方針に合致する事業者の事業展開・事業拡大を資金面からサポートし、政策の効果を大きくするために補助金施策を実施しています。
逆に言えば、国、県、公的機関の政策・方針に合致しない事業は、補助金の対象にはなりにくいと言えます。
事業者が補助金を活用するメリット
事業者が補助金を活用するメリットは以下の3つになります。
1.投資リスクの軽減
事業者が事業成長を目指す場合、投資が必要になります。投資には常にリスクが伴いますが、この投資に対して補助金を活用できれば投資のリスクは軽減されます。
2.事業計画の明文化
補助金に申請するためには、事業者は事業計画書を作成する必要があります。事業計画書では、現状の問題、課題を明確化し、今後の計画が妥当であり、実現性も高く、収益を上げられることを論理的に示す必要があります。事業計画書により、事業者は自らの考えを客観的に捉えることができるようになり、自身の強みや課題が明確になり、効果的な経営戦略を検討することが可能になります。
3.事業計画が公に認められたことによるPR効果
補助金採択においては審査員により事業計画書が評価され、相対評価によって補助金を交付する事業が決定されます。また、補助金が採択された事業は、その事実が公表されます。中には会報誌や国の事例などで紹介される場合があります。
補助金が交付されたということは、国、県、公的期間などによりその事業計画が認められたと同義であり、その事実を活用してPRも可能となり、事業者のブランディングにも活用できます。
補助金活用における注意事項
補助金は前述の通り大きなメリットがありますが、注意事項があります。以下の注意事項に気を付けて補助金を有効活用しましょう。
1.手続きにかかる事務負担が大きい
補助金はまず申請作業が必要になります。申請においては事業計画書の作成だけでなく、必要な書類を要件に合わせてまとめる必要があります。要件は数十ページの公募要領を確認する必要があります。
また補助金が採択された後は、
・申請通りに補助対象事業を行ったかどうかの「実績報告」
・事業が計画通りに進んでいるか確認するための「事業化状況報告」(複数年間必要)
などの報告が必要であり、手続きの負担が発生します。
2.スピーディな事業展開ができない
補助金は以下の流れで交付が決定されます。
「公募締切」→「審査期間」→「採択発表」→「交付申請」→「交付決定」
※一部の補助金は採択発表=交付決定。
審査期間は長いものであれば2,3か月かかる場合があります。また、交付申請から交付決定も1か月以上かかる場合が多いです。
つまり、申請してから最短でも3か月は事業計画をスタートできないという状況になります。このため、スピードが必要な事業の場合は補助金を活用しないという判断も必要になります。
まとめ
補助金は、数百万円、数千万円、数億円を得られる場合があり、投資リスクの軽減、事業計画の明文化等で非常に大きなメリットがあります。
一方で、手続きの負担が大きく、スピーディーな事業展開には向かないという注意点もあります。
補助金は、ご自身のやりたいことに関して課題やシナリオを明らかにし、そのやりたいことが補助金 の目的・スケジュールに合致するか判断した上で活用していただければと思います。
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文責:鈴木俊雄