ニュース・コラム

小規模事業者の強い味方:販路開拓に使える小規模事業者持続化補助金

■本コラムのポイント

  • 小規模事業者持続化補助金の目的、概要を解説しています。
  • 申請するためのプロセス、必要書類が把握でき、申請に掛かる負荷が把握できます。
  • 採択率を上げるためのポイントを把握できます。

1.小規模事業者持続化補助金の概要

▼小規模事業者持続化補助金とは

 小規模事業者持続化補助金(以降、持続化補助金という)とは、小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(物価高騰、賃上げ、インボイス制度の導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とした補助金です。

 商工会・商工会議所の支援を受ける必要があるため、申請を行う場合は早めに最寄りの商工会・商工会議所に相談しましょう(会員・非会員は問われません)。

 また、商工会、商工会議所がそれぞれのポータルサイトで持続化補助金の情報を発信しており、申請場所も異なる点にご注意下さい。
 商工会 持続化補助金ポータルサイト:https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/
 商工会議所 持続化補助金ポータルサイト:https://s23.jizokukahojokin.info/

▼対象事業者

 補助対象者は以下を満たす事業者となります。

  • 小規模事業者及び一定要件を満たす特定非営利活動法人であること
  • 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接(※)に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
  • 確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が 15億円を超えていないこと
  • 商工会・商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること
  • 過去3年前後の期間において持続化補助金を受領していないこと(期間は要確認)

●小規模事業者とは

 小規模事業者は以下が対象となります。

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)常時使用する従業員の数 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業常時使用する従業員の数 20人以下
製造業その他常時使用する従業員の数 20人以下

 ただし、小規模事業者であっても補助対象にならない事業者があります。以下の表から、補助対象か補助対象ではないかをご確認ください。

※補助対象者の範囲

※引用:商工会議所地区 公募要領(第15回公募)

●一定要件を満たす特定非営利活動法人とは

 補助対象となる特定非営利活動法人は、以下の2つの要件を満たす法人となります。

  • 法人税法上の収益事業(法人税法施行令第5条に規定される34事業)を行っていること(収益事業を行っていても、免税されていて確定申告書の提出ができない場合は補助対象外)
  • 認定特定非営利活動法人でないこと

▼申請枠と特徴

 申請枠は以下となります。※令和6年能登半島地震への対応として、2024年1月25日に災害支援枠が追加されました(申請方法が異なります)。

 類型補助率補助上限インボイス特例
通常枠2/350万円+50万円
賃金引上げ枠2/3 (赤字事業者は3/4)200万円
卒業枠2/3
後継者支援枠
創業枠
災害支援枠2/3 (要件を満たす場合は定額)直接的な被害:200万円
間接的な被害:100万円

 枠ごとの概要は以下となります。

類型概要
通常枠小規模事業者自らが作成した経営計画に基づき、商工会・商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓等の取組を支援
賃金引上げ枠販路開拓の取り組みに加え、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+50円以上である小規模事業者
卒業枠販路開拓の取り組みに加え、雇用を増やし小規模事業者の従業員数を超えて事業規模を拡大する小規模事業者
後継者支援枠販路開拓の取り組みに加え、アトツギ甲子園においてファイナリスト又は準ファイナリストに選ばれた小規模事業者
創業枠産業競争力強化法に基づく「特定創業支援等事業」による支援を受けた日および開業日(設立年月日)が公募締切時から起算して過去3か年の間である、販路開拓に取り組む小規模事業者
災害支援枠被災区域4県(石川県、富山県、新潟県、福井県)に所在する令和6年能登半島地震の被害を受けた事業者のうち、災害からの事業再建に向けた取り組みを行う小規模事業者 ※被災を証明する公的な証明が必要。

▼補助対象となる事業

 補助対象となる事業は以下の要件を満たす事業です。

  • 策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓等のための取組であること。あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
    ※災害支援枠は、「計画」に基づいて実施する事業再建のための取り組みであること。
  • 商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること
  • 以下に該当する事業を行うものではないこと
    ・同一内容の事業について、国が助成するほかの制度と同一又は類似内容の事業
    ・本事業終了後、おおむね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業
    ・事業内容が公的な支援を行うことが適当でないと認められる事業

▼補助対象経費

 補助対象経費は以下となります。

①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦資料購入費、⑧借料、⑨設備処分費、⑩委託・外注費

 ※災害支援枠では、⑪車両購入費(事業遂行に不可欠で専ら補助事業で取り組む特定の業務のみに用いることが明らかな車両)が追加されます。

 補助対象経費は策定した「経営計画」に基づいて実施するもにに限られますので、計画書への明記が必要となります。

2.申請~事業完了までの流れ

 申請~事業完了までの流れは以下となります(日程は第15回公募のもの)。

※引用:商工会議所地区 公募要領(第15回公募)

 プロセスごとの注意点は以下となります。

▼「事前準備」~「申請」まで

  • GビズIDプライムを取得していることが望ましい(災害支援枠以外)
    申請は電子申請と郵送での申請がありますが、郵送での申請の場合は審査において減点対象となるため、可能であれば電子申請を選択しましょう。
    ※災害支援枠は郵送のみでの申請となります。
  • 商工会・商工会議所への相談が必要
    持続化補助金の申請では、商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」が必須となります。事業者が策定した事業計画書を商工会・商工会議所が確認し、支援内容を決める必要があるため、申請する場合は最寄りの商工会・商工会議所に早めに相談しましょう。

▼「補助金交付候補の採択発表」~「交付決定」まで

  • 交付決定以前に発注したものは補助対象外となる
    事業計画に記載され、かつ交付決定後に発注したものが補助対象となります。
    公募から交付決定まで時間がかかるため(3,4か月間)、スピーディーに事業を行いたい場合は注意が必要です。

▼「交付決定」~「補助金の入金」まで

  • 締切までに実績を報告しなければ補助金が支給されない
    補助金の対象となる事業は、報告期間に締切があります。いつまでに支払終えなければならないかを確認した上で補助金を申請するかご検討ください。
  • 補助金は、全ての支払いが終わって、実績報告が承認された後でなければ支給されない
    事業の投資に必要な費用は、事業者様が確保した上で支払う必要があります。自己資金で足りない場合は金融機関からの融資も検討する必要があるため、金融機関との相談をご検討ください。
  • 「収益納付」による補助金の減額が必要になる場合がある
    規定されている計算式により、収益が得られたと認められる場合は、補助金額が減額される場合があります。

▼「補助金の入金」以降

  • 補助金が補助事業完了から1年後に状況報告が必要
    持続化補助金では、補助事業終了から1年後の状況において「事業効果及び賃金引上げ等状況報告」を期限内に提出する必要があります。補助金入金後も事務手続きが必要になる点についても注意してください。

3.必要書類と準備

 申請に必要な書類は、全申請者が必須のものと、枠や加点で異なるものがあります。
 ※災害支援枠は、提出資料が別で指定されています。

▼全申請者が必須の提出資料(災害支援枠以外)

※引用:商工会議所地区 持続化補助金ガイドブック

 これらの書類の中で、準備に時間がかかるのは「補助事業計画書②(様式3)」になります。様式3において、8ページ程度の事業計画を記載する必要があります。また、その計画書を商工会・商工会議所に提出し、商工会・商工会議所から「事業支援計画書(様式4)」を発行してもらう必要があります。

 事業計画書は審査において採点され、その出来不出来で採択が左右されるため、十分な時間をかけて計画書を作成しましょう。

▼枠や加点により必要となる提出資料(災害支援枠以外)

 申請する枠や加点内容に合致するか確認するため、以下の証跡を添付する必要があります。

※引用:商工会議所地区 持続化補助金ガイドブック

▼災害支援枠の提出資料

 災害支援枠の申請に必要となる資料は、異なる様式が必要であり、以下となります。

書類備考
応募対象者確認シート必須
申請書(様式1)必須
経営計画書(様式2)必須
支援機関確認書(様式3)必須
車両購入の理由書(様式5)車両購入を伴う場合のみ
被害状況又は売上減による被害状況がわかる資料●被害状況の確認公的書類
令和 6年能登半島地震による罹災証明 書等の地方自治体発行書類
●売上減の確認
令和6年1月及び2月の任意の1か月の売上高が前年同期と比較して20%以上減少したことを行政機関が証した書面(例:セーフティネット保証4号の認定書や、地方自治体が独自に発行した証明書等)
決算書・確定申告書等●法人の場合
貸借対照表および損益計算書(直近1期分)
●個人事業主の場合
直近の確定申告書
●特定非営利活動法人の場合
①貸借対照表および活動報告書(直近1期分)
②現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書
③法人税確定申告書(別表一(受付印のある用紙)および別表4(所得の簡易計算))(直近1期分)

 また、定額申請の場合は以下の追加提出が必要となります。

書類備考
過去数年以内に発生した災害で被害を受けたことを証明する書類①当時の罹災(被災)証明
②①がない者は、災害からの復旧・復興に向けて国等が実施した支援のうち、活用した支援策の交付決定通知の写し等
過去数年以内に発生した災害以降、売上高が20%以上減少している復興途上にあることを証明する書類①対象月の売上高が分かる財務諸表等
②①が提出できない者は、任意様式による自己申告【様式6】
交付申請時において、過去数年以内に発生した災害からの復旧又は復興に向けた事業活動に要した債務を抱えていることを証明する書類①対象の災害からの復旧又は復興に向けた事業活動に要したことが分かる、債務の契約書等及び残高 が分かる書類(返済計画等の写し)

4.採択されるための戦略とコツ(災害支援枠以外)

 補助金の審査観点は公募要領に明記されています。
 事業計画書を見て審査される「基礎審査」と加点を確認される「加点審査」に分かれています。

▼基礎審査

 基礎審査のポイントは以下となります。これらのポイントを事業計画書上で表現することができれば採択率がアップします。

  • 自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。
  • 経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
  • 経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
  • 補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
  • 補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
  • 補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
  • 補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。
  • 補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
  • 事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。

 事業計画書の品質を上げるには、具体的で妥当性・実現性が高い計画を練り上げることが必要になります。一方で、良い計画書を作成することは事業の成功確率アップやリスク回避につながる大きなメリットにもつながります。
 補助金の獲得だけでなく自社事業の成功につながるよう、具体的で妥当性・実現性の高い事業計画を作成しましょう

▼加点審査

 加点は、【重点政策加点】【政策加点】からそれぞれ1種類、合計2種類まで選択できます。

※引用:商工会議所地区 持続化補助金ガイドブック 

5.災害支援枠の審査観点

災害支援枠は以下の観点で審査されます。

※引用:商工会議所地区 災害支援枠公募要領

6.まとめ

持続化補助金は小規模事業者の販路開拓を支援する使いやすい補助金です。一方で、事業計画書の作成や事後報告などの手続き負荷を前もって想定しておく必要があります。

 当社は、精度の高い事業計画の作成、申請支援の豊富な実績がございます。応募だけでなく、事業の成功を伴走するためのメニューをご用意しております。ものづくり補助金申請をお考え中の新潟県内の事業者の方は是非お気軽にご相談ください。

新潟県内での補助金のご相談はスズキ経営株式会社まで
 当社は補助金申請支援において94.73%の採択率を誇っています(2023年12月末時点)。
 新潟県内で補助金申請に関してご支援が必要であれば、お気軽にスズキ経営株式会社までご相談ください。

お問い合わせはこちら

文責:鈴木俊雄

問い合わせフォームはこちら