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「中小企業成長加速化補助金」とは?:公募要領からポイントを解説

■本コラムのポイント

  • 中小企業成長加速化補助金の目的、概要を解説しています。
  • 申請するためのプロセス、必要書類が把握でき、申請に掛かる負荷が把握できます。
  • 採択率を上げるためのポイントを把握できます。

1.中小企業成長加速化補助金の概要

▼中小企業成長加速化補助金とは

 中小企業成長加速化補助金は、賃上げへの貢献、輸出による外需獲得、域内の仕入による地域経済への波及効果が大きい売上高100億円超を目指す中小企業の大胆な投資を支援する制度であり、補助金上限最大5億円の大型補助金です。事務局公募要領によると、令和8年度末までに公募回数3回、採択件数600件が予定されています(第1回の公募は2025/6/9に締め切られました)。
 

▼対象事業者

 補助対象となる事業者は、「中小企業等経営強化法」(平成 11 年法律第 18 号)第 2 条第 1 項各号に規定する「中小企業者」であり、売上高が10億円以上、100億円未満である必要があります。大企業、みなし大企業は対象外であり、一部の組合、財団法人、社団法人、医療法人なども対象外となります。
 詳しくは、公募要領の「事業者の範囲」の頁をご参照ください。
 ※ポータルサイト:100億企業 成長ポータル

▼補助率と補助額

補助額最大5億円
補助率1/2
※補助事業期間:交付決定日から24か月以内

▼補助対象経費

建物費(拠点新設・増築等)、機械装置費(器具・備品費含む)、ソフトウェア費、外注費、専門家経費
※建物費は生産設備等の導入に必要なものに限ります。なお、土地代は対象外です。

▼基本要件

 成長加速化補助金に申請するためには、以下の補助事業の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 「100億宣言」が100億宣言ポータルサイトに公表されていること
  2. 投資額1億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
  3. 一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画の策定(賃上げ実施期間は補助事業終了後3年間)
    ※賃上げ要件とは、補助事業の終了後3年間の「給与支給総額」 又は 「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上であることを指します。

2.申請~報告完了のプロセスの解説

 申請~報告完了のプロセスは以下となります。

※引用:公募要領(令和7年3月版)

申請における注意点は以下となります。

▼「事前準備」~「補助金交付候補の採択発表」まで

  • GビズIDプライムを取得していること
    申請は100%電子化されており、行政手続きに使われる「GビズIDプライム」が必須となります。
  • 事業計画書は30~40ページ規模のドキュメントが求められること
    採択者(補助金交付候補)を決めるために事業計画書(公募要領では投資計画書)が審査されます。補助額が非常に大きい補助金であるため、その事業計画書の実現性・妥当性が採択結果に大きく影響します。
  • 2次審査ではプレゼンテーション審査が行われること
    外部有識者(利害関係者を除く)による計画の効果・実現可能性等について定性面も含めたプレゼンテーション審査が地域ブロック単位で行われます。経営者(代表取締役社長・会長等の代表権を有している方)の出席が必須です。

▼「補助金交付候補の採択発表」~「交付決定」まで

  • 交付決定以前に発注したものは補助対象外となること
    事業計画に記載され、かつ交付決定後に発注したものが補助対象となります。
    公募締切から交付決定まで時間がかかるため(4~5か月)、スピーディーに事業を行いたい場合は注意が必要です。

▼「交付決定」~「補助金の支払」まで

  • 実績報告を締切までに実施しなければ補助金が支給されないこと
    補助金の対象となる事業は、報告期間に締切があります。いつまでに支払終えなければならないかを確認した上で補助金を申請するかご検討ください。
  • 補助金は、全ての支払いが終わって、実績報告が承認された後でなければ支給されないこと
    事業の投資に必要な費用は、事業者様が確保した上で支払う必要があります。自己資金で足りない場合は金融機関からの融資も検討する必要があるため、金融機関との相談をご検討ください。

▼「補助金入金」以降

  • 補助金が支給されて以降、毎年 計6回の事業化状況報告が必要なこと
    補助金は毎年の報告が継続的に求められます。新事業進出補助金では実績報告後6年間、毎年1回の報告が求められます。事務手続きが煩雑な点も注意が必要です。
  • 賃上げ要件を満たさなかった場合は補助金の返還を求められること
    基準年度の3事業年度後(最終年度)の「給与支給総額」又は「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率の目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求められます。ただし、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還を求められません。
  • 財産処分は制限されること
    補助事業により取得した財産は、補助金を活用しているため「国の所有権もある」という状況です。そのため、当然ですが勝手に処分は認められないため事前に事務局の承認を受けなければならず、残存簿価相当額又は譲渡額等から算出された補助金額を納付しなければなりません。

3.必要書類と準備

 申請に必要な書類は以下となります。

▼必須書類

投資計画書(様式1)様式1を参考に40ページ以内で作成した計画書。
投資計画書の妥当性、実現性などをもとに審査される。
投資計画書(様式2)投資計画の数値面を具体的に記載した計画書。
ローカルベンチマーク過去3年間の決算をもとにした、財務分析結果を示すファイル。
決算書(直近3期分)直近3年間の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価報告書、販売管理費明細

▼場合により必要な書類

書類内容
金融機関による確認書金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合に必要
リース取引に係る宣誓書リース会社と共同申請する場合に必要
リース料軽減計算書リース会社と共同申請する場合に必要

 これらの書類の中で、準備に時間がかかるのは「投資計画書」になります。投資計画書以外の書類は、既存の書類や方向性が決まれば作成できるものですが、投資計画書は自社で作成する必要があるため、時間がかかります。
 公募説明会から公募締切まで約1.5月ですので、その1.5か月間で投資計画書を作成する必要があります。

4.採択されるための戦略とコツ

 補助金の審査観点は公募要領に明記されています。
 中小企業成長加速化補助金では以下の項目が審査項目となっています。

審査項目概要
経営力(ア)将来の売上高 100 億円(あるいは更なる成長)に向けた中長期的なビジョンや計画を有しているか。その上で、補助事業期間を含む今後5年程度について、経営者の明確なシナリオとともに事業戦略が論理的に構築され、その中で当該補助事業が効果的に組み込まれているか。事業戦略は、自社の成長余力、変化余力を最大限伸張し、従前よりも一段上となる成長を目指した企業の行動変容が示されたものとなっているか。
(イ)市場や顧客動向を始めとした外部環境、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)等にかかる強み・弱みの内部環境を分析した上で、当面の事業戦略が論理的に構築され、本補助事業が効果的に組み込まれているか。
(ウ)適切な成果目標等が示され、その達成に向けて効率的に管理する体制が構築されているか。
(エ)コンソーシアム形式の場合には、連携の意義・目的が明確であり、相乗効果が見込まれるか。
波及効果(ア)地域への波及効果として、投資により創出された利益を賃金として従業員へ還元する賃上げの計画が具体的かつ妥当であり、賃上げ要件の水準を上回るものとなっているか。
(イ)域内仕入の拡大や地域における価値創造などに資する事業であるか(例えば、川上の調達先・川下の販売先などサプライチェーンを通じた波及効果がある事業か、ものづくりの高度化やイノベーションの創出など産業競争力を強化し新たな価値創造に資する事業であるか、地域資源の積極的な活用などを通じ地域の経済成長を力強く牽引する事業であるか(地域未来牽引企業の選定等)等)。
(ウ)下請取引先等に対する適切な取引姿勢(パートナーシップ構築宣言の実施等)、自然災害や感染症、サプライチェーン寸断等に対するレジリエンス(事業継続力強化計画の認定取得など BCP を策定していること)、女性活躍や仕事と子育ての両立などに配慮した職場環境整備(えるぼし認定、くるみん認定の取得等)など、地域のモデル企業としての取組を進めているか。
実現可能性(ア)計画を実施可能な経営体制が構築されており、早期に投資が実行され、確実に効果が得られると見込まれるか。
(イ)補助事業を適切に遂行できる財務状況が十分に確保されているか(ローカルベンチマークによるスコアリング)。
(ウ)金融機関のコミットメントが得られているか(確認書を発行した金融機関の担当者等がプレゼンテーション審査に同席する場合の加点等)。

 上記から、採択の可能性を上げるためには、投資計画書が審査観点に合致した品質の高い計画になっていることが必要になります。

 投資計画書の品質を上げるには、具体的で妥当性・実現性が高い計画を練り上げることが必要になります。ただし、この作業は事業者様の新たな事業をより具体化するものであり、事業の成功確率アップやリスク回避につながる大きなメリットにつながります。
 補助金の獲得だけでなく自社事業の成功につながるよう、具体的で妥当性・実現性の高い事業計画を作成しましょう。

5.まとめ

 中小企業成長加速化補助金は最大で5億円の補助金を得られる、非常に規模の大きな補助金です。一方で、投資規模も大きくなるため事業者様のリスクも大きくなります。また、補助金の申請・事後報告などの手続き負荷も想定する必要があります。

 当社は、精度の高い事業計画の作成、申請支援の豊富な実績がございます。応募だけでなく、事業の成功を伴走するためのメニューをご用意しております。中小企業成長加速化補助金申請をお考え中の新潟県内の事業者の方は是非お気軽にご相談ください。

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文責:鈴木俊雄

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