初心者のためのものづくり補助金ロードマップ:申請から事業の実施まで
■本コラムのポイント
- ものづくり補助金の目的、概要を解説しています。
- 申請するためのプロセス、必要書類が把握でき、申請に掛かる負荷が把握できます。
- 採択率を上げるためのポイントを把握できます。
目次
1.ものづくり補助金の概要
▼ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、国内の雇用の多くを占める中小企業・小規模事業者が生産性向上や持続的な賃上げに向けて取り組む、革新的な製品・サービスの開発、または生産プロセス等の省力化のための設備投資・システム構築を支援する補助金です。(公募要領概要版より)
ものづくり補助金に申請する場合は、この目的に合致した事業である必要があります。
▼対象事業者
補助対象となる事業者は、中小企業者・小規模企業者等です。大企業、みなし大企業は対象がいであり、一部の組合、財団法人、社団法人、医療法人なども対象外となります。
詳しくは、公募要領の「補助対象者」の頁をご参照ください。
※公募要領:https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html
▼申請枠と特徴
令和5年度補正予算「中小企業生産性革命推進事業」により、2024年以降は以下の予算、支援類型での事業となりました。
※引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金について 中小企業庁
4つの枠とそれぞれの特徴は以下となります。
枠・類型 | 特徴 |
省力化(オーダーメイド枠) | 人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援する。 |
製品・サービス高付加価値枠 ・通常類型 | 革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援する。 |
製品・サービス高付加価値枠 ・成長分野進出類型 | 今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援する |
グローバル枠 | 海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資等を支援する |
自社が行う事業がどの枠の特徴に適しているかを判断した上で、申請する枠を決める必要があります。
▼基本要件
ものづくり補助金に申請するためには、以下3つの基本要件を満たす必要があります。
※引用:公募要領概要版_17次締切
これらの基本要件を事業計画書上で示すことが重要となります。
2.申請プロセスの解説
申請プロセスは以下のスケジュールに詳しく記載されています。
※引用:公募要領概要版_17次締切
申請における注意点は以下となります。
▼「事前準備」~「補助金交付候補の採択発表」まで
- GビズIDプライムを取得していること
申請は100%電子化されており、行政手続きに使われる「GビズIDプライム」が必須となります。 - 一定規模以上の申請を行う事業者はオンラインで口頭審査が必要であること(17次公募から)
事業者自身が審査員とオンライン(Zoom等)で面談し、事業計画の内容を回答する必要があります。
▼「補助金交付候補の採択発表」~「交付決定」まで
- 交付決定以前に発注したものは補助対象外となること
事業計画に記載され、かつ交付決定後に発注したものが補助対象となります。
公募から交付決定まで時間がかかるため(3,4か月間)、スピーディーに事業を行いたい場合は注意が必要です。
▼「交付決定」~「補助金の支払」まで
- 実績報告を締切までに実施しなければ補助金が支給されないこと
補助金の対象となる事業は、報告期間に締切があります。いつまでに支払終えなければならないかを確認した上で補助金を申請するかご検討ください。 - 補助金は、全ての支払いが終わって、実績報告が承認された後でなければ支給されないこと
事業の投資に必要な費用は、事業者様が確保した上で支払う必要があります。自己資金で足りない場合は金融機関からの融資も検討する必要があるため、金融機関との相談をご検討ください。
▼「補助金入金」以降
- 補助金が支給されて以降、毎年4月時点で計6回の報告が必要なこと
補助金は毎年の報告が継続的に求められます。ものづくり補助金では実績報告後6年間、毎年1回の報告が求められます。事務手続きが煩雑な点も注意が必要です。 - 申請した事業で収益が多く得られた場合は「収益納付」が必要になる場合があること
規定されている計算式により、収益が得られたと認められる場合は、受領した補助金額を上限として収益納付が発生する場合がある点も事前に理解しておく必要があります。
3.必要書類と準備
申請に必要な書類は以下となります。
点線で囲まれた書類は条件に対応する場合に必要になる書類です。
※引用:公募要領概要版_17次締切
これらの書類の中で、準備に時間がかかるのは「事業計画書」になります。事業計画書以外の書類は、既存の書類や方向性が決まれば作成できるものですが、事業計画書は審査で自社で作成する必要があるため、時間がかかります。
公募開始から公募締切まで約2か月ですので、その2か月間で事業計画書を作成する必要があります。
4.採択されるための戦略とコツ
ものづくり補助金の審査観点は公募要領に明記されています。
ものづくり補助金では以下の項目で審査され、最初の4項目は事業計画書の内容で審査されます。
審査項目 | 概要 |
補助対象事業としての適格性 | ものづくり補助金の要件を満たすか審査されます。 |
技術面 | 製品やサービスの開発が革新的であるか、課題に対する解決の方法が明確で具体的かが評価されます。 |
事業化面 | 事業化の方法スケジュール等が具体的か、製品サービスの市場性があるか、企業の収益性・生産性は向上するか、が評価されます。 |
政策面 | 地域経済への貢献や、我が国の経済発展のために国の経済政策として支援すべき取り組みかが評価されます。 |
大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性(大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例のみ) | 様式4をもとに賃上げの妥当性が評価されます。 |
加点項目 | 以下の項目から最大6項目について加点を行います。 ・成長性加点:1件(経営革新計画 認定事業者) ・政策加点:12件(創業間もない事業者、DX認定事業者など) ・災害観点:1件(事業継続力強化計画 認定事業者) ・賃上げ加点:2件 ・女性活躍等の推進の取り組み加点:2件 |
減点項目 | ・過去3年間に類似の補助金の交付決定を1回受けている場合 ・令和元年度補正予算ものづくり補助金以降に交付決定を受けている場合であって、収益納付をしていない事業者 |
上記から、採択の可能性を上げるためには、
・事業計画書が審査観点に合致した品質の高い計画になっていること
・できるだけ多くの加点を得ていること
が必要になります。
事業計画書の品質を上げるには、具体的で妥当性・実現性が高い計画を練り上げることが必要になります。ただし、この作業は事業者様の新たな事業をより具体化するものであり、事業の成功確率アップやリスク回避につながる大きなメリットにつながります。
補助金の獲得だけでなく自社事業の成功につながるよう、具体的で妥当性・実現性の高い事業計画を作成しましょう。
5.まとめ
ものづくり補助金は最大で1億2千万円の補助金を得られる規模の大きな補助金です。一方で、投資規模も大きくなるため事業者様のリスクも大きくなります。また、補助金の申請・事後報告などの手続き負荷も想定する必要があります。
当社は、精度の高い事業計画の作成、申請支援の豊富な実績がございます。応募だけでなく、事業の成功を伴走するためのメニューをご用意しております。ものづくり補助金申請をお考え中の新潟県内の事業者の方は是非お気軽にご相談ください。
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文責:鈴木俊雄